アノヒアノト記

スマホと低スペコンデジで、あの日あの時を雑に記録。

奈良井宿を歩く

長野県塩尻市(2023年8月)

木曽路はすべて山の中である・・・長年憧れてきたフレーズ。

中山道(国道19号)を走る機会に恵まれたので、奈良井宿へ立ち寄った。

奈良井宿 中央本線

国道すぐそば、奈良井川中央本線を渡ってすぐの奈良井権兵衛駐車場は広い第2駐車場もある。

駐車場脇に保存されているC12 199号機。

それでは散策開始。生憎の小雨模様、時々雨脚が強まって残念。

奈良井宿

想像以上に素晴らしく保存された町並み。

素朴な袖壁。

町は主としてほぼ街道沿い一本勝負。敷地割りは街道に沿って奥行きの深い短冊状。

塩尻市のサイトによると、「低い二階の前面を張り出して縁としている。この張り出した部分の造りをこの地域では出梁(だしばり)造りといい、大きな特徴となっています。」とのこと。

奈良井宿

各商店や民家には屋号が掲げられ、また提灯も提げられていた。デザインは統一ではないところが面白い。各お宅のオリジナルのようだった。

奈良井宿

重伝建地区はいろいろと整っていることが多いが、当たり前の暮らしの気配のするものが残されていると嬉しい。

一本大通りの街道に不思議にカクっと曲がった部分があり、「鍵の手」と呼ばれている。

このカーブの辺りはちょっとした広場のようになっており、地図にあるように水場(鍵の手水場)やお不動さんなどが集まって集落内でも特別な場所であったことが窺える。

鍵の手水場

鍵の手には道祖神も祀られ、往来を見守る。信州といえば双体道祖神

奈良井宿 双体道祖神

そして鳥居が印象的な荒沢不動尊。お不動さんに鳥居とは是神仏習合也。

奈良井宿 荒沢不動尊

覗き込むとちょっとした寄り合いができそうな集会場のようになっていた。念仏回しや百万遍のような風習があればこちらで行われそうですね。

給湯器や流しがついて、寄り合いでお茶も出せる。

では、鍵の手のその先へ。

街道の正面に山が見えるのが良い。(調べましたがよくわかりませんでした・・・。)

長泉寺さんの山門。

 

「て津可」の看板は手塚家住宅。手塚家は江戸時代に宿場内の要職を代々務めた問屋さんだったそう。

お隣には木曽のお酒の看板を各種掲げた酒店さん。

中乗さん

 

奈良井宿

渋い看板をいくつも拝見。

日野百草本舗

電話番号のプレートが良いですね。

京都をはじめとした関西で多く見かける鍾馗さん。この辺りにそのような風習があったかは不勉強でわからないが、そんなに新しいものとも思えず。

奈良井宿 鍾馗さん

さすが木曽路の宿場町らしく、山懐に抱かれた様が大変印象深い奈良井宿

奈良井宿

ところどころ家並みが途切れ、路地の先に国道や中央本線が見えることがある。

暮らしの営み。

先ほど鍵の手でも水場を見たが、奈良井宿には水場が多い。水に恵まれた町や集落では胸のすく思いがする。

横水の水場

表示には「ここは仲町の横水です」と書いてあった。横水の水場です。

愛らしい水神さんが祀られていた。

横水の水場の背後には、松の根元に小さな祠。

何の祠かはわからなかったが、周囲には庚申塔をはじめとする石碑。集落である場所に石碑・石仏などが集められている光景は我が地元にも通じるものがあり大変好ましい。

庚申塔金毘羅大権現、そしてここで出会えるとは、の徳本名号塔。

さらに奥に見えた暮らしの営み。

どんな集落にもこのようなお店があって欲しい。

中村屋さんという店だったようです。

古い町並みには造り酒屋が似つかわしい。こちらは杉の森酒造さんの建物を引き継いだ旅館(ホテル?)だそう。

奈良井宿 杉の森

これまた素敵な外観の越後屋食堂さん。

歩く。

ホテーパンさんは初めて聞いたなぁ。と思い調べると布袋食糧さんというメーカーさんのパンだった。

ホテーパン

素敵な牛乳箱だ。

歩いていてふと気になったいくつか。細い木片や、灰。ちょうどお盆のシーズンだし、迎え火か送り火かなと思ったのだが・・・真実や如何に。

 

奈良井宿

集落を見守る墓地。

下町の水場。

奈良井宿 下町の水場

御岳百草丸のディスプレイが可愛いですね。

御岳百草丸

これまた渋い看板たち。

こちらは下城の水場だそう。

千社札の中にお札立て。中には幣束が入っているように見えた。

奥の階段が大変趣深い。そして階段を上がったところにも水場があるようだった。

出梁の様子がよくわかる。

奈良井宿

ところで、権兵衛駐車場から奈良井宿へ入るとすぐに目に入る洋風建築があった。

奈良井宿 洋風建築

ただならぬ存在感で、おそらく役所かお医者さんか。(検索していると、かつて医院だったという書き込みを見かけた。)



権兵衛駐車場への道を通り過ぎ、奈良井宿の西の端へ。

素敵な床屋さんのサインだ。

端の方になるので観光客の往来は少ない。

オリジナル提灯がこちらも可憐。

宿場西端の宮の前水場。

宮の前水場

水場の後ろは庚申塔の宝の山!

庚申塔だけではなく、左から南無阿弥陀仏の名号塔、お隣はまたも徳本名号塔、そして青面金剛像。

右端には道祖神もいた。

水場の先には、まさに村の鎮守様たる鎮神社がある。

鎮神社の手前に蠶魂大神の石碑。これはかねがねお目にかかりたかった養蚕神の碑ですね?

鎮(しずめ)神社。

例大祭は8/11~12だそうで、訪問時は大祭の直後だったんですね。

鎮神社は鳥居峠への登り口にあるため少し小高くなっており、奈良井宿が俯瞰できた。

奈良井宿

奈良井宿

合歓の花咲く。

散策終了。駐車場へ向かう間に見えた中央本線の列車。

(2023.08.16)