長野県塩尻市(2023年8月)
双体道祖神
街道がカクっとカーブし侵入者を遮る仕組み、奈良井宿では街道のど真ん中に形成されており、「鍵の手」と呼ばれるそうだ。その鍵の手に祀られた双体道祖神。
道祖神は、悪いものが地域へ侵入するのを防ぐ塞ノ神でもある。町の外れではなくど真ん中で奈良井宿の往来を見守っていた。
荒沢不動尊
鍵の手を見守るのは道祖神ばかりではなかった。自然木の鳥居が印象的な荒沢不動尊。お不動さんに鳥居とはこれ如何に。THE神仏習合。
扉は開けなかったが、覗き込むとちょっとした寄り合いができそうな集会場のようになっていた。念仏回しや百万遍のような風習があればこちらで行われそうですね。
給湯器や流しがついて、寄り合いでお茶も出せる。
このような、暮らしの中に深く深く根差すお堂に出会える喜び。
鍾馗さん
京都をはじめとした関西で多く見かける鍾馗さん。この辺りにそのような風習があったかは不勉強でわからないが、そんなに新しいものとも思えず。
水神さん
奈良井宿にいくつもある水場に、水神さんが祀られていた。水の恵みに感謝する心。
庚申塔
横水の水場の裏手、松の木の根元。
お隣の祠が何を祀ったものかはわからないのが残念。
鎮神社手前の宮の前水場の裏手にも石碑が習合されていた。
一際存在感があったのは、庚申と二十三夜(廿三夜)塔が習合されていた大きな自然石碑。
左から庚申塔、青面金剛、道祖神。特に青面金剛は足元の三猿がくっきりしている。
徳本上人名号塔
横道の水場裏手、庚申塔と共に祀られていた石碑群。徳本上人は庶民の救済のため全国を行脚したという漂泊の念仏行者。唯念上人の名号塔と共に、旅先で出会えると嬉しい。
宮の前の水場の裏手にも、徳本上人の名号塔が一基あった。(左から二番目。)
金毘羅大権現
山岳信仰・巡拝碑も関西に住んでいてはなかなかお目にかかれないので嬉しい出会い。
蠶魂大神
鎮神社の手前に蠶魂大神の石碑。養蚕神にはかねてからお目にかかりたいと思っていたので感動した。我が故郷もかつては養蚕が盛んだったが、北関東や信州ほどではなかったのだろうか。養蚕神碑はこれまで見たことがなかった。
鎮神社(しずめじんじゃ)
宿場町西端、鳥居峠への上り口。奈良井宿に疫病が流行った際に、これを鎮めるために千葉県香取神社から主神・経津主命(ふつぬしのみこと)を勧請したとのこと。氏子総出の盛大な例祭が毎年8月11日・12日に執り行われるそう。
(2023.08.16)