アノ日アノ旅

スマホと低スペコンデジで撮りためた記憶を振り返り、あの日のあの旅を雑に記録。

風早の港町、カナダ移民の歴史を伝えるアメリカ村

※店舗・価格等の情報は訪問当時のものですのでご注意下さい。

和歌山県日高郡美浜町(2026年1月)

以前NHKの「新日本紀行」で知った、和歌山県の小さな港町の話。

昭和49年、新日本紀行では、明治時代から北米に多くの移民を送り出してきた小さな漁村・和歌山県美浜町三尾の人々と暮らしを描いた。三尾では今もカナダへ移住した人々と地元民との交流があり、その様子も紹介する。海のかなたにある遠い異国の地と三尾は、故郷を思う絆で、しっかりと結ばれていた。

NHK ONEより)

www.web.nhk

 

とても特色のある港町だった。三尾の人々の移民先はカナダのスティーブストンという町だそうだが、三尾は「アメリカ村」と呼ばれてきた。東北で我が地元の人たちが関東全域を東京と呼ぶのと似たようなことだろう。

北米・南米・東アジアの移民先から帰国した方や引き揚げた方は日本各地に多いと思うが、昭和49年当時の三尾には移民先の生活様式や言葉を保っている方々がかなりの人数いらしたことに特に驚いた。

 

その「アメリカ村」を訪ねた。

和歌山県美浜町三尾

温暖な和歌山だというのに小雪のちらつく、恐ろしく寒い日だった。この三尾の地はかつて万葉集「風早の三穂の浦廻を漕ぐ船の船人騒く波立つらしも」と詠まれた地だそうだ。

和歌山県美浜町三尾

お昼近かったのでまずは食事から。

地域創生施設の一つで、すてぶす丼という丼ものがいただける「アメリカ村食堂すてぶすとん」へ行ってみると残念ながら休業中だった。

すてぶすとん

貼り紙には人手不足のための休業とあり悲しい気持ちになったが、4月からの復活に向け準備中だとも書いてあった。すてぶす丼は近くの系列のラーメン屋さんでいただけるとのこと。

案内に従い崖下のお店へ向かう。ラーメン屋さんは「麺と向かって「みお」」という名前だった。

素敵な店内だった。

「もともとは和室のある倉庫」とある。後ろのガラスも昭和なデザインだ。

後で知ったのだがこのお店は京都外国語大学の学生さんが計画に参加したらしい。若い感性光る。

主人が選んだのはみおラーメン。三尾の特産である伊勢海老と鶏+豚骨出汁のスープだそう。伊勢海老味が濃厚で、スープずっと飲んでられる。

三尾ラーメン

私は当初の予定通りすてぶす丼。これまた三尾の特産品であるしらすが載っているが、サーモンはきっと移民先のカナダ・スティーブストンでサケ漁が盛んだったことに由来しているんじゃないかな。

すてぶす丼

ごちそうさまでした。

外に出る。熊野御坊南海バスのバス停があった。名前は「アメリカ村」。まさしくきちんと正式な呼称だった。

バス停の近く、港の堤防の脇に石碑が集まった一角があった。

お地蔵さんらしき祠もある。

石碑は顕彰碑等のようだった。右には「カナダ移住百年の碑」。

公衆トイレがある。(このような半分外のような公衆トイレにしてはとても綺麗に掃除されていた。その壁に三尾の名物が無邪気なタッチで描かれていた。工野儀兵衛さんはカナダ移民のパイオニアだそうだ。クヌッセン機関長さんは通りがかりに日本の船が燃えているのを救助しようとして命を落とされた方だという。

カナダミュージアムへ。

カナダミュージアム

カナダミュージアム

洋風建築要素が見て取れる。

カナダミュージアム

庭。

カナダミュージアム

カナダの先住民アーティストが製作したというトーテムポール。お隣にはカナダ移民のパイオニア工野儀兵衛さんの胸像。

カナダミュージアム

さらには旧紀伊日ノ御碕灯台で使用されていたという巨大なレンズが保存展示されていた。

カナダミュージアム

周辺のお宅、板壁に港町を感じる。

カナダミュージアム

(カナダではなく)駐日アメリカ代理大使さんの植樹の碑。

カナダ

この日はたまたま極寒だったが、普段は暖かいに違いない和歌山。水仙が咲いていた。

カナダミュージアムにお邪魔する。高校生以上150円。かつての民家の1階の半分がカフェ、半分が展示室となっていた。カフェにはお客さんが3組ほど。盛況。

規模こそ大きくはないが説明のパネルが多く情報が充実していた。

カナダミュージアム

カナダミュージアム

カナダミュージアム

カナダミュージアム

ジャパニーズイングリッシュ(Japanglish)の例だそうだ。ピジン語の一種と呼んでいいのかな?とても興味深い。

Japanglish

お盆には「脇田商店 ステブストン」の文字。

多くの舶来文化の品々はあっても、背景には神棚に掛け軸。

欄間。

渡航を伝える葉書。

移民へ旅立つはがき

出生証明書。

ステブストン出生証明書

カナダから「ジャッキ」という呼び名で持ち込まれたという遊び道具だそう。

Jax'n Bell

Jax'n Bell

サッカリン・キセル

退出する際にミュージアムの女性の方から解説をいただいた。カナダから戻った方のオーダーで、日本の大工さんが建てたこの和洋折衷のお宅、大工さんは神戸まで洋館を勉強しに行かれたそう。

このお宅は地下が倉庫になっており、造りがしっかりしていたため傷むこともなく現役で使われているそうだ。これは退出後に外から見えた地下倉庫の通風口。

空は晴れた。

美浜町観光マップ。

三尾

マップの隣の木は長く伸びた気根らしき枝がぐるぐる巻かれていて、南国の樹木みがある。この辺りにはアコウという木が多く生えているそうで、これもそうかな?

堤防に上がってみた。三尾の漁港に小さな祠が鎮座している。海辺らしく蛭子神社だそうだ。

三尾漁港

強い風が吹きつけている。風早の三穂(三尾)。

車に戻る。先程ミュージアムで教わった。アメリカ村食堂の隣のお宅は今はゲストハウスだそうだが、ここも歴史を伝える民家だったそう。

(2026.01.11)